Pocket の手 for Windows Mobile 5.0

フォントを変えよう

Microsoft の標準フォントは、Mac と比べてあまり綺麗とは言えません。
PocketPC は画面が PC に比べて非常に狭いので、PC 以上に目が疲れます。RealVGA 環境ではなおさらです。
そこで少しでも見やすくするためにフォントを変更してみます。
見え方ががらっと変わりますよ!

そこでフリーで配布されているフォントを Windows Mobile デバイス に導入して綺麗な画面表示を実現します。
毎日使うのがより一層楽しくなりますよ。

フォントの比較

その前にフォントによる見え方の違いを以下の画像で見比べてください。すべて ClearType を有効にしてなめらなか表示にして画面をキャプチャしています。

環境は Word Mobile - フォントサイズ 10pt

標準フォント - デフォルトでインストールされているフォント
MS Pゴシック MS UI ゴシック MS ゴシック
MS Pゴシックは、文字によって縦の画と横の画の太さが違ってますね。全体的に黒っぽくごちゃごちゃして見えます。
MS UIゴシックは、MS Pゴシックよりも綺麗で整った印象があります。ユーザインターフェイス用なので、ちょっと文字間が狭いですね。 MS ゴシックは、MS UIゴシックをゆったりさせた感じです。

SH G30 - 置き換えフォントの定番
SH G30-P SH G30-M
とっても綺麗です。文字が丸い感じなのは人それぞれの好き好きですが、とても目に優しい感じです。 シャープがザウルスなどの液晶画面で見やすいように作ったフォント ( LC フォント ) をベースにしただけはあります。 とっても綺麗です。しかし SH G30-P だと半角かなが混ざっていると文字がずれてしまいますが、SH G30-M なら綺麗に表示されます。

MS *ゴシック Ex+ - 置き換えフォントの新定番
MS Pゴシック Ex+ MS UI ゴシック Ex+ MS ゴシック Ex+
Windows上に移植したフォントである「SH G30」の記号と半角文字をMS *ゴシックのものに置き換え、 文字幅をAA対応にし、Unicodeの特殊記号にも対応したフォントです。 以前は、SH G30 が定番の置き換えフォントでしたが、最近はこちらの MS ゴシック Ex+ が定番になりつつあります。 SH G30 に比べ文字が少し細くなっています。

ARISAKA - Mac OS 用 Osaka フォントの改造
ARISAKA ARISAKA-AA ARISAKA-FIX
Mac OS 用の Osaka フォントを改良したフォントです。 さすが綺麗ですね。全体的なバランスもとれていますし、文字一つ一つ見ても綺麗です。 良く見ると文字間を広くとっていることが判ります。一画面に入る情報量が少し減りますね。 私は PC でこのフォントをメインに使っています。Osaka フォントをベースに改造したフォント

IPA - 独立行政法人 情報処理推進機構が作成した美麗なフリーフォント
IPA ゴシック IPA Pゴシック IPA UIゴシック
普通のゴシック体という感じですが、MS ゴシック系よりも整った印象があります。 また拡大すると良く分かりますが ARISAKA 系は ClearType を有効にしても少しがたついていますが、IPA ゴシック系は非常に滑らかで綺麗に表現されています。

IPA 明朝 IPA P明朝
この明朝体はとっても綺麗です。キャプチャじゃ分からないかも知れませんが、インストールして表示させると綺麗さが良く分かります。


情報量の差

文字間の違いによる情報量の差ですが、以下の一文を例にとるとフォントによって一行に入る文字数が違うことが判ります。

MS ゴシック 海外ではノキアやサムスン電子などが
MS Pゴシック 海外ではノキアやサムスン電子などが多
MS UI ゴシック 海外ではノキアやサムスン電子など
SH G30-P 海外ではノキアやサムスン電子などが
SH G30-M 海外ではノキアやサムスン電子など
MS ゴシック Ex+ 海外ではノキアやサムスン電子などが
MS Pゴシック Ex+ 海外ではノキアやサムスン電子などが多
MS UI ゴシック Ex+ 海外ではノキアやサムスン電子など
ARISAKA 海外ではノキアやサムスン電子など
ARISAKA-AA 海外ではノキアやサムスン電子などが
ARISAKA-FIX 海外ではノキアやサムスン電子など
IPA ゴシック 海外ではノキアやサムスン電子など
IPA P ゴシック 海外ではノキアやサムスン電子などが
IPA UI ゴシック 海外ではノキアやサムスン電子などが多数
IPA 明朝 海外ではノキアやサムスン電子など
IPA P明朝 海外ではノキアやサムスン電子などが


一番情報量が多いのは、IPA UIゴシックですね。これは文字間が狭いのにも関わらず綺麗で見やすいフォントで、良く出来ています。
MS P ゴシックは見難いのは文字間のせいもあるかもしれません。

フォントのダウンロード

フォントはダウンロードできますが、ライセンス関係がグレーなものもあるようですのでダウンロードは自己責任で行ってください。

SH G30
http://osakattf.hp.infoseek.co.jp/
一番下の SHG30.ttc.cab をダウンロードして展開すると SH G30.ttc ファイルが出てきます。
これがフォントです。SH G30-M ( 等幅 ) と SH G30-P ( プロポーショナル ) が一つのファイルに入っています。 ( ttc = TrueType Collection )

MS *ゴシック Ex+
http://ms-gothicex.mpage.jp/MS-GothicExPlus.html
SH G30 を文字幅をAA対応にし、Unicodeの特殊記号にも対応したフォントです。その他にも調整されているようです。
展開すると MS-GothicExPlus というフォルダが作成され、その中の MS-GothicEx+ というフォルダにフォントが入っています。

MSGothic.ttc MS ゴシック・MS Pゴシック・MS UI ゴシックの3つのフォントが入っているファイル。
MSGothic.ttf MS ゴシック単品
MSPGothic.ttf MS Pゴシック単品
MSUIGothic.ttf MS UI ゴシック単品


Arisaka
http://www.geocities.jp/osakaforwin/
Arisaka.zip をダウンロードして展開すると ARISAKA フォルダが出来て、そこにフォントが入っています。
ARISAKA.ttf 10pt推奨、可読範囲8~13pt、ブラウザ文字小な人、AAズレあり。
ARISAKA_AA.ttf 12pt推奨、可読範囲10~14pt、ブラウザ文字中な人、AAズレなし(多分)、FontLinkするならこっち。
ARISAKA_fix.ttf 10pt専用の等幅フォント。


IPA
http://www.grass-japan.org/FOSS4G/readme-grass-i18n-ipafonts.eucjp.htm
IPAフォント付きバイナリーパッケージファイルのフルフォントバージョンをダウンロードします。
ダウンロードしたら展開して、そこの fonts フォルダに入っています。

ipag.ttf IPA ゴシック
ipagp.ttf IPA P ゴシック
ipagui.ttf IPA UI ゴシック
ipam.ttf IPA 明朝
ipamp.ttf IPA P明朝


フォントのインストール

フォントをインストールするのは簡単です。ここでは SH G30 を例にとります。

メインメモリにインストールする場合

1. SHG30.ttc.cab を展開し、SH G30.ttc ファイルを取り出す。
2. ActiveSync などで、SH G30.ttc を \windows にコピーする ( \windows\fonts ではない )

これで終わりです。
後はソフトリセットをして再起動して各アプリで使いたいフォントを指定するだけで終了です。
一括してすべてのフォントを変更する場合は「システムフォントの変更」をご覧ください。

SD カードなどにインストールする場合

SD カードにインストールしてメモリを節約したい方はこちらの方法が良いと思います。

※システムフォントにするフォントは必ずメインメモリにインストールしましょう!SD カードにフォントをインストールすると、ハングアップする可能性があります。
SD カードなどにインストールしたフォントをシステムフォントにする事は危険なので、やめましょう!

普通であればフォントは \windows に置かなければなりませんが、Font on Storage というソフトを使うと \SD CARD\fonts など外部メモリにフォントファイルを置けるようになります。

まず SD カードなどに \fonts というフォルダを作成し、フォントファイル ( .ttc, .ttf ) をコピーします。
次に Font On Strage をダウンロードします。

Font On Storage
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/2039/

ダウンロードしたら展開し、fontonstrage.exe を取り出します。後はこれを PocketPC に送って実行するだけです。
PocketWord でも立ち上げてみてフォントを変更してみてください。SD カードに入れたフォントが使えるようになっているはずです。

※フォントを使用している最中に SD カードを抜くとハングアップするみたいです。注意しましょう。

フォントのアンインストール

フォントのアンインストールの正式な方法は良く知りません。が、私が試して出来た方法がありますので、ご紹介します。

基本はインストールした ( \windows にコピーした ) フォントを削除するだけです。しかし普通に削除をしようとすると「ファイルがロックされています~」とメッセージが出て削除することが出来ません。

※削除するフォントをシステムフォントに指定している場合、削除する前にシステムフォントを元のフォントに直してください。そうしないとどうなるか分かりません。

その一

GSFinder などで、
1. \windows にあるフォントファイルを切り取る
2. \My Documents などに貼り付ける
3. リセットボタンを押してリセットを行う
4. \My Documents に貼り付けたフォントファイルを削除する

その二

GSFinder などで、
1. \windows にあるフォントファイルの拡張子を削除する
2. リセットボタンを押してリセットを行う
3. フォントファイルを削除する

その三

リセットをしたくない場合や、その一その二でダメだった場合は・・・

GSFinder などで、
1. \windows にあるフォントファイルを切り取る
2. SD カードに貼り付ける
3. ActiveSync で SD カードに貼り付けたフォントを削除する
この手順でうまくいきます。
ActiveSync 経由で削除しなくても PC のカードリーダから削除しても良いです。

システムフォントの変更

ソフトが使っているフォントを一つ一つ変えていく事もできますが、面倒なのでシステムフォントを全て変えましょう。
上記で紹介した SH G30 フォントを使うと、一気に見た目も良く明るく見えますよ!絶対にお勧め~。

では、ここで SH G30 フォントを例題にフォントリンクというシステムを使用して、フォントを変更する手順を解説します。

Pocketの手で変更する場合の手順

レジストリで変更する場合の手順



  1. レジストリエディタが必要になりますのでここから TRE というレジストリエディタをダウンロードして、インストールをしてください。
  2. フォントのダウンロードを見て SH G30 フォントをダウンロードしてください。
  3. ダウンロードしたファイルを展開し SH G30.ttc を取り出し W-ZERO3 の \Windows フォルダにコピーしてください。
  4. 以下に対応フォントファイルごとのレジストリファイルを用意しました。ダウンロードして TRE で読み込ませて下さい。
  5. TRE で読み込ませた後にリセットをすると、システムフォントが変更されています。


システムフォント変更用レジストリ
対応フォントファイル 適用スタイル レジストリ 備考
SH G30 用


SH G30.TTC SH G30-M ダウンロード すべてをSH G30-M に設定
SH G30.TTC SH G30-P ダウンロード すべてをSH G30-P に設定




ARISAKA 用


ARISAKA.ttf ARISAKA ダウンロード すべてを ARISAKA に設定
ARISAKA_AA.ttf ARISAKA-AA ダウンロード すべてを ARISAKA-AA に設定
ARISAKA_fix.ttf ARISAKA-等幅 ダウンロード すべてを ARISAKA-等幅 に設定




MS-GothicExPlus用


MSGothic.ttc MS ゴシック
MS Pゴシック
MS UI Gothic
ダウンロード MS UI Gothic を MS UI Gothic
MS PGothic・MS Pゴシックを MS Pゴシック
その他をMS ゴシックに設定
MSGothic.ttf MS ゴシック ダウンロード すべてを MS ゴシック に設定
MSPGothic.ttf MS Pゴシック ダウンロード すべてを MS Pゴシック に設定
MSUIGothic.ttf MS UI Gothic ダウンロード すべてを MS UI Gothic に設定




IPA用


ipag.ttf IPAゴシック ダウンロード すべてを IPAゴシック に設定
ipagp.ttf IPA Pゴシック ダウンロード すべてを IPA Pゴシック に設定
ipagui.ttf IPA UIゴシック ダウンロード すべてを IPA UIゴシック に設定
ipam.ttf IPA明朝 ダウンロード すべてを IPA明朝 に設定
ipamp.ttf IPA P明朝 ダウンロード すべてを IPA P明朝 に設定


オリジナルレジストリ - 元に戻すときにご使用ください
W-ZERO3 用オリジナルレジストリ ダウンロード
Toshiba e830 用オリジナルレジストリ ダウンロード


手動で変更する場合の手順

手動で変更する場合、細心の注意をして実行してください。


  1. レジストリエディタが必要になりますのでここから TRE というレジストリエディタをダウンロードして、インストールをしてください。
  2. フォントのダウンロードを見て SH G30 フォントをダウンロードしてください。
  3. 次にダウンロードしたファイルを展開し SH G30.ttc を取り出します。
  4. 取り出したら Windows パソコン上で SH G30.ttc ファイルをダブルクリックしてください。
    するとこのようなウィンドウが開きます。レジストリでこの書体名を設定します。

    このフォントの書体名は、「SH G30-M」ですね。この書体名は全角・半角が入り混じっているので、間違えないようにしてください。「全角S・全角H・半角空白・全角G・半角の30-M」が書体名です。

    フォントスタイルの確認

  5. 次に、フォントをインストールします。
    SH G30 の場合、SH G30.ttc を \windows にファイルをコピーします。

    ※\Windows\fonts フォルダといういかにもなフォルダがありますが、こちらにコピーするとすべての文字が豆腐( □ ←これですね ) になってしまいます。

  6. ではシステムフォントを変更します。レジストリエディタ TRE を起動して [HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\FontLink\SystemLink] に移動してください。

    レジストリエディタ起動

  7. ここでレジストリのバックアップを取っておきます。保存するファイル名は必ず「半角英数字だけを使った名前」で保存します。
    いざとなったらこのレジストリで復帰させます。

    レジストリバックアップ

  8. では設定をします。

    [HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\FontLink\SystemLink]
    の下にある、キー全てに、
    "\Windows\SH G30.TTC,SH G30-M"
    を設定します。

    ※SH G30-M の場合の設定です。他のフォントのときは、そのコピーしたフォントの、ファイル名と書体名を設定します。

    レジストリを設定する

  9. これで再起動すればシステムフォントが変更されています。


システムフォントの変更に失敗した場合

不幸にもこの画像のようになってしまった場合は、システムフォントの変更に失敗しています。

フォント設定に失敗

あわてずにバックアップレジストリからシステムフォントの設定を戻しましょう。
※もしバックアップレジストリがない場合は、レジストリで変更する場合の手順からオリジナルレジストリをダウンロードして W-ZERO3 にコピーして使用してください。


  1. まずスタートメニューを開きます。
    スタートメニュー

  2. 次に TRE を起動します。
    TRE起動

  3. メニューからレジストリの読み込みを選択します。
    レジストリの読み込みを選択

  4. バックアップしておいたレジストリファイルを選択します。
    レジストリの読み込み

  5. レジストリの読み込みに成功!
    レジストリの読み込み成功

  6. 後はソフトリセットをして再起動します。


その他

フォント関連は色々と周辺技術があるようで、ビットマップフォントを削除するだのフォントリンクがどうしただの、やり始めると奥が深いようです。
リンクの方を参照して色々と試してみてください。

リンク

Macの見やすいOsakaフォントをWinで使おうプロジェクト
http://osakattf.hp.infoseek.co.jp/

Osakafont スレ過去ログ
http://www.geocities.jp/osakaforwin/

Windowsでも綺麗なフォントを(1)
http://linkage.xrea.jp/article/2004/05/smoothfont_1.php